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より体に優しい、新しい低侵襲手術~単孔式内視鏡手術~
大阪警察病院 消化器外科 副院長/部長 水島恒和
医長 内藤 敦
開腹術と同等の手術をより小さい傷で行う腹腔鏡手術(小さい穴をあけて行う手術)は、術後の痛みや体への負担を減らし、早く退院でき、早く家庭復帰や社会復帰できるといわれています。
近年、低侵襲性、整容性(見目の美しさ)をさらに追求する単孔式内視鏡手術(Single Incision Laparoscopic Surgery:SILS)が提唱されています。当科では2009年5月にはじめてこの術式を導入して以降、徐々に適応範囲を広げて各疾患に対して積極的に単孔式内視鏡手術を行っています。従来の腹腔鏡手術ではお腹にあけた4〜5か所の穴から手術を行いますが、単孔式内視鏡手術は切り取った病変を取り出すための1つの穴をお臍の中にあけて(図1)、この穴からだけですべての手術を行います。手術の内容は、大きくお腹を開ける開腹手術をしても、従来の小さい穴を幾つかあける腹腔鏡手術をしても、この単孔式内視鏡手術をしても同じです。更に、お臍に傷をもってくると、傷跡はほとんどお臍の中に隠れて見えません(図2)。疾患にもよりますが、術後1週間程度で退院も可能です。当科では、胆石症・急性虫垂炎・鼠径ヘルニアに対しては単孔式内視鏡手術を第一選択としており、また胃癌・大腸癌に対しても積極的に単孔式内視鏡手術を導入しています。2019年12月までに約5000例の単孔式内視鏡手術を行い(表)、特に胃癌、大腸癌、鼠径ヘルニアの手術については、多くの実績があります。
術後成績においても従来法と比べて同等以上の成績です。
われわれは、この手術を是非多くの患者さんに受けていただきたいと考えております。受診前にお聞きになりたいことがあれば、当院外科外来(代表:06-6771-6051)、またはセカンドオピニオン外来(直通:06-6775-2863)までご連絡頂けると幸いです。
表:当科における単孔式内視鏡手術の症例数(2009年5月~2019年12月まで)
胆嚢 | 虫垂 | ヘルニア | 胃 | 大腸 | その他 | |
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症例数 | 1,459 | 458 | 823 | 449 | 1,408 | 160 |
平均術後在院日数 | 4 | 6 | 1 | 8 | 8 | 10 |
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図1:単孔式腹腔鏡下手術:お臍の小さな切開(2~2.5cm程度)から手術を行います。 |
図2:下の写真は、単孔式内視鏡手術後の手術の傷跡です。
胆嚢摘出術後 |
虫垂切除術後 |
ヘルニア術後 |
胃切除術後 |
大腸切除術後 | |