メインイメージ

ホーム > 診療体制のご紹介 > 医療センター > ウロギネセンター

ウロギネセンター

センターのご紹介

 骨盤臓器脱や尿失禁などの女性骨盤底疾患は増加傾向にあり、米国では、女性が生涯で骨盤臓器脱もしくは尿失禁で手術治療を受ける割合は11.1%にのぼるとの報告があります。そんな中、これらの疾患は「女性のQOLを損なう疾患」とされています。
 当院では、産婦人科にて2008年より「ウロギネ外来」を設け、当時最新のTVM手術(メッシュを用いた腟式骨盤臓器脱手術)を導入し、積極的に女性骨盤底疾患、特に骨盤臓器脱の診療に取り組んでいます。また、泌尿器科でも同様に、尿失禁に対する保存的治療、外科的治療を行っています。
 
 そこで、この度、診療内容をより充実させるべく、「ウロギネセンター」を産婦人科と泌尿器科と合同で発足しました。両科の専門知識や診断・治療技術を駆使し、合同で診療にあたることにより、わが国でも数少ない産婦人科と泌尿器科が協同する高い診療レベル診療を行っています。
 ※ウロギネとは・・・「泌尿器科」ウロ(Urology)と「産婦人科」ギネ(Gynecology)を組み合わせた造語です。
 

 骨盤臓器脱の治療

 骨盤内の臓器を支える骨盤底組織のゆるみによっておこる病気を骨盤底疾患といいます。主な疾患として子宮や膀胱、直腸などの骨盤内臓器が下垂する骨盤臓器脱と、尿漏れがあります。近年このような疾患に悩む女性が増加しており、これらの疾患は生命に影響は与えませんが、生活の質(QOL; quality of life)を著しく損なうものです。当科では、このような悩みを抱えている女性に対し積極的に治療をおこなっています。

骨盤臓器脱の治療では、患者さんの症状や生活環境に合わせた治療を選択するようにしております。

 手術を希望されない場合や合併症のため手術が難しい場合は、外来で骨盤底筋体操の指導やペッサリー(腟内装具)治療を行います。可能な場合はペッサリーの自己着脱(ペッサリーを自分で出し入れしてもらう)を指導し、自己管理しやすいようにしています。

 手術を希望される場合は、様々な手術方法を用いて患者さん個々の状況に応じた手術法を選択します。従来の腟式子宮全摘術と腟壁形成に加え、低侵襲で効果も高いと言われるTVM手術(膣からメッシュを挿入し、骨盤内臓器を支える手術・図1)、さらには、若年で性生活のある方には腹腔鏡下仙骨腟固定術(メッシュを用いて膣を仙骨に引き上げる・図2)を行います。また、ご高齢の方や手術のリスクが高い方、脱出が高度な場合には膣閉鎖も再発が少なく有効な手術です。

各手術方法について

①腟式子宮全摘、膣断端固定、腟壁形成

子宮脱を主体とする症例によい。腟から子宮を摘出し、膣断端を靭帯組織に固定する方法。膀胱瘤を伴う場合は再発のリスクが高い。直腸瘤には後腟壁形成がよい。メッシュは使わないので、異物挿入によるリスクはない。

②TVM(腟式メッシュ手術)

膀胱瘤を主体とする症例によい。腟式手術で、手術時間も短く、低侵襲であり、再発リスクが少ない。メッシュ挿入による、術後の性交痛やメッシュの腟壁露出のリスクが数%ある。

③腹腔鏡下仙骨腟固定術;LSC(腹腔鏡下メッシュ手術)

子宮脱と膀胱瘤を伴う、比較的若年の高度な骨盤臓器脱によい。腹腔鏡下にメッシュを用いて、子宮および腟を引き上げる。再発リスクが少なく、メッシュによる術後の性交痛や腟壁露出のリスクがTVMより少ないと言われる。手術時間が3時間程度と長い。

④腟閉鎖

高齢者や手術リスクの高い症例によい。子宮は摘出する場合としない場合がある。腟からの手術で侵襲は少なく、再発のリスクも低い。

 

ウロギネセンター図.png

尿失禁の治療

尿失禁の治療では、咳やくしゃみで尿が漏れる腹圧性尿失禁に対しては尿道スリング手術を実施しています。また、「トイレに行きたいと思うと間に合わずに漏れてしまう。」といった切迫性尿失禁は薬物治療を行っています。

これらの疾患については月曜日午後にウロギネ外来という専門外来を設けています。

 

センターについて

メンバー構成

・泌尿器科 : 高田部長・吉岡副部長

・産婦人科 : 西尾部長・柏原医長

対象疾患

・骨盤臓器脱

・腹圧性尿失禁 など

診察について

産婦人科外来

ウロギネ外来(毎週火曜日午後、担当:柏原)

西尾部長 診察 (月・金)

柏原副医長 一般外来 (水)

泌尿器科外来

高田部長 診察、吉岡医長 診察

排尿機能検査、泌尿器科X線TV室にてChain cystographyなどの画像診断

協力体制について

境界領域の手術患者については合同カンファレンスにて治療方針決定。症例によっては産婦人科・泌尿器科共同で手術を実施

 

実績

  件数
2012年 2013年 2014年
(9月まで)
TVM 49 28 26
LSC *** 1 12
膣式子宮全摘 7 16 13
膣閉鎖 6 6 7
膣壁形成術 1 2 8
その他 1 ***
 合計 64  54  66

 

ウロギネの専門医 柏原先生が詳しく解説します。「ウロギネセンター」とは?

uroginepiac2.jpg
 
産婦人科 医長 柏原 宏美
【専門分野】一般産科・婦人科・女性骨盤底疾患・内視鏡手術
 

「ウロギネ」という言葉について

ウロギネとは、「泌尿器科」ウロ(Urology)と「婦人科」ギネ(Gynecology)を組み合わせた造語です。泌尿器科と産婦人科に渡る疾患(尿漏れや骨盤臓器脱など)を専門的に診察しています。病院によっては、「女性泌尿器科」という標榜で診察されているところもあります。
 

どのような疾患が対象になるんですか?

主に「骨盤臓器脱」と「尿失禁」を診察しています。骨盤臓器脱とは、骨盤底のゆるみによって膣から膀胱や子宮が下がり、膣口から出てくる疾患です。膀胱や子宮が下がってきて膣から出てしまうため違和感を感じます。また、尿失禁は、飛んだり跳ねたりして尿が漏れる“腹圧性尿失禁”と、トイレに行こうとしたら漏れる“切迫性尿失禁”があります。尿漏れは、高齢の女性が多い印象を受けますが、若い女性でも、出産によって骨盤底が傷ついて尿漏れが発生する事も多いです。
 

治療方法について教えてください。

「骨盤臓器脱」や「尿失禁」は命に係わる疾患ではないので、治療を選択しない人もおられますが、QOL(生活の質)の低下を招いたりするので注意が必要です。治療方法は疾患ごとの症状にもよりますが患者さんの希望に沿って手術や投薬治療などの方針を決めていくので、是非ご相談ください。
 
urogine1.jpg
 

尿失禁はどのように治療するのですか?

腹圧性尿失禁は、症状により手術で対応するのかどうかを判断します。切迫性尿失禁は、投薬治療を行うことが多いです。
 

骨盤臓器脱はどのように治療するのですか?

膀胱が下がらないようにメッシュ(網状の布)を使って膀胱を引き上げる治療を行います。膣から手術を行うため、お腹に傷は残りません。手術翌日から歩行や飲食が可能となります。その時に使うメッシュなんですが、体内では異物と認識され、性交時は痛みを伴う場合もあるんです。患者さんの希望や年齢、環境により腹腔鏡の手術や、高齢の方には膣を閉じてしまう手術、子宮を取ってしまう手術など様々な選択肢があります。気軽にご相談下さい。
女性が一生のうちに子宮臓器脱や尿失禁の問題を抱える割合は11%にも上るというアメリカのデータがあります。それほど多くの人が発症する疾患なんです。しかし、皆さんは誰に相談していいのかわからなかったり恥ずかしかったりと、その状態を隠されている方が多いのも事実です。
 

診察していてよかったなと思うときはどんな時ですか?

尿漏れが改善した時の患者さん喜びは非常に大きいです。「これでおトイレを心配しなくていい!」「不安だったバス旅行が楽しみになってきた!」という感じです。とりわけ多いのが、治った患者さんが口コミで同じような症状を持つ患者さんを連れて来られること。まわりに気軽に相談できないけれど、潜在的には結構同じ悩みを持っている方々が多いと感じます。
 

フランス留学経験はいかがでしたか? 

一昨年の9月から昨年の10月まで、フランス北部パリから少し離れたリールという町にある大学病院に留学していました。メッシュを用いた骨盤臓器脱の手術を考え出したチームに所属している先生グループで学び、非常に多くの技術や知識と経験を身につけることができました。今後も診療に活かしていきたいです。
 
ugoinepic1.jpg
 

患者さんへメッセージをお願いします!

患者さんが多くなっていくと、地に足がつかなくなりがちですが、そこは原点に立ち返り今後も親身に患者さん一人ひとりに手術の提案等や術後の外来を行いケアしていきたいです。そして、この分野を専門的に診察している医師が少ないという現状に対して、多くの人に興味を持ってもらえるようになったらいいと思います。「最高齢で90代の患者さんが手術されていました!歳のせいにしないで治療しましょう!」
 

お問い合わせ先

大阪警察病院 産婦人科外来
(代表)06-6771-6051 
オペレーターに「産婦人科外来へ」とお申し付けください。

top

now tasks