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診療方針

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食道癌

担当:大森 健 (金曜日診察)

 当院での食道癌治療(他の消化器癌についても同じことが言えますが)における基本的な考え方は、高い根治性(どれぐらいきっちり病巣を切除できたか)を目指しつつ患者さんの肉体的・精神的負担を軽くすることです。これを達成するため、次に示すような治療法を取り入れています。
  当科での食道癌治療の特徴(各治療法の詳細はクリックしてください):
1.胸腔鏡および腹腔鏡を用いた食道癌手術(患者さんへの負担が少ない低侵襲手術を採用)
2.食道切除後の消化管再建での工夫(縫合不全の少ない術式を採用)
3.頸部・胸部・腹部の3領域リンパ節郭清(より確実に癌病巣を切除する術式を採用)
4.消化器内科との連携で、手術・化学療法・放射線療法を柔軟に適用(各患者さんに最も適したテイラーメイド医療を実践)
  食道癌手術は年間約15~20例です。1995年以来の当院での食道癌手術症例の5年生存率は、0期:100%、 1期:88%、2期:67%、3期:31%、4期:19%です。ただし、食道癌に対する治療は手術のみならず、化学放射線療法や化学療法も重要な位置を占 めていますので、消化器内科と連携を密にしながら、患者さんの治療方針を決定しています。

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胃癌

担当:大森 健 (金曜日診察)

胃癌手術は年間約130例で、病期別 5年生存率は、Ⅰa期 97%、Ⅰb期 93%、Ⅱ期 87%、Ⅲa期 58%、Ⅲb期 38%、Ⅳ期11%です。早期胃癌に対しては当院内視鏡センターで内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行っています。EMRの適応とならない早期胃癌に対して は、鏡視下胃内手術や腹腔鏡下胃部分切除、腹腔鏡下胃全摘術腹腔鏡下幽門側胃切除術を行い、残存胃の機能を温存した低侵襲手術に心がけています。進行胃癌に対しては、予後の改善が期待できる症例には膵臓や肝臓など他臓器合併切除や拡大リン パ節郭清を行っています。近年、新規の抗癌剤が開発され、手術不能の進行胃癌に対しても60~70%の奏効率を認めています。胃癌の治療成績は、新規抗癌 剤を用いた集学的治療で更に改善すると期待されます。

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大腸癌・炎症性腸疾患

担当:赤松 大樹 (金曜日診察)
上島 成幸 (水曜日診察)

大腸癌手術は年間約150例で、手術数は増加傾向にあります。過去約15年間の結腸癌と直腸癌の病期別5年生存率は別図を ご覧ください。大腸癌手術の約60%は腹腔鏡補助下に行っており、創も約5cmと小さく低侵襲で、早期退院が可能です。術後の経口摂取開始は平均3日、術 後在院日数は平均12日です。進行大腸癌に対しても腹腔鏡下手術で十分なリンパ郭清を伴う根治手術が可能で、積極的に行っております。炎症性腸疾患(ク ローン病、潰瘍性大腸炎)の治療は内科と協力して治療を行っており、内科的治療が無効の症例に対しては例え以前に開腹手術を受けた患者さんであっても腹腔鏡 補助下手術をおこなっています。

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肝癌

担当:上島 成幸 (水曜日診察)

肝癌手術は年間約40例です。肝癌の治療においては、肝動脈塞栓療法、経皮的ラジオ波凝固療法、肝切除手術など治療法の選択肢があるため、患者さん・家族の 方に各々の治療法の長所・短所、治療成績を十分説明した上で治療方針を決定しています。癌が両葉に存在する症例でも、上記治療を組み合わせた集学的治療を 積極的に施行しています。経皮的ラジオ波凝固療法は、局所麻酔下でも可能ですが、腫瘍の存在部位や大きさ、患者さんの希望により全身痲酔下で行っておりま す。また、転移性肝癌に対しては、積極的に肝切除手術やラジオ波凝固療法、肝動注化学療法などを行い、予後の改善を認めております。

胆石症
胆石症手術は年間約150例です。そのうち約90%に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。創が小さく、術後1~5日で退院可能です。総胆管結石に対しては、内科で内視鏡下に十二指腸乳頭部から結石を摘出しています。内視鏡的に摘出できない時は、腹腔鏡下手術や開腹手術となります。胆石を長年放置していると、胆石発作や胆嚢炎を来したり、胆嚢癌が発生することがあります。胆石症の手術は低侵襲に施行できるため、胆石と診断された患者さんには手術を勧めています。

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胆道癌

担当:上島 成幸(上部胆管および胆嚢)(水曜日診察)
鳥 正幸(中下部胆管及びVater)(水曜日診察)

胆道癌(胆嚢癌、胆管癌、十二指腸Vater乳頭部癌)の手術は年間約20例で、肝切除や膵頭十二指腸切除を行っています。根治性が期待できる場合は、肝 膵同時切除や門脈・肝動脈の合併切除再建、術中放射線照射、化学療法などの拡大手術や集学的治療を行い、治療成績の向上に努めています。近年、手術不能の 進行胆道癌に対する多剤併用化学療法の奏効率は約50%とかなり期待できるようになってきました。閉塞性黄疸に対しては、経皮経肝胆道ドレナージ術を行 い、黄疸が改善してから手術を施行しています。手術不能などの場合には、胆道ステントを挿入して黄疸を改善させ、患者さんのQOL(生活の質)を高めてお ります。

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膵臓癌

担当:鳥 正幸 (水曜日診察)

膵臓の手術は年間約30例で、膵頭十二指腸切除(PD)や膵体尾部切除(DP)、亜全摘を行っています。当科の特徴として「腹腔鏡下膵体尾部切除(HALS)、リンパ節郭清」を膵体尾部癌の標準手術としており他施設に類を見ない実績を残しております。定型手術のみならず、根治性が期待できる場合は、門脈合併切除再建、術前術後の化学放射線療法など、拡大手術や集学的治療を積極的に行い、治療成績の向上に努めています。病状と患者さんのご希望で腹腔鏡下PDを施行する場合もあります。粘液産生膵腫瘍などの手術治療にも積極的に取り組んでおります。

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甲状腺癌

担当:鳥 正幸 (水曜日診察)

甲状腺・副甲状腺を含めた頸部手術症例は年間約120例です。甲状腺癌に対しては、甲状腺切除とともに必要に応じて頚部リンパ節郭清を行っています。整容性と低侵襲を目指した当科オリジナルの内視鏡下甲状腺手術(葉切除、全摘+リンパ節郭清)を開発し通常甲状腺癌の標準術式としています。一方、気管や喉頭に浸潤した進行甲状腺癌の手術は、大学病院や甲状腺専門病院からも患者さんの紹介を頂いており、独自の気管合併切除再建手術は海外でも高く評価されています。食道や血管に浸潤した困難な甲状腺癌にも対応します。良性甲状腺腫に対しては、美容面を含めて慎重に手術適応を考慮して最善の治療を選択しています。甲状腺機能亢進症においては、内科的治療が無効や非適応の患者さんに対して、甲状腺超亜全摘術を行っています。

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乳癌

担当:吉留 克英 (月曜日診察)

乳癌の年間手術症例は約65例で、その約60%に乳房温存手術を行っています。乳房を温存する際には、術中迅速病理検査を行い、切除断端に癌がないことを確認しています。 可能な限り乳房温存を図り、美容形成面にも留意しています。乳房を温存できない場合には、患者さんが希望されれば当院形成外科にて生理食塩水バッグや筋皮弁による乳房再建を行っています。また、平成13年より、色素やアイソトープを用いたセンチネルリンパ節生検を行っています。センチネルリンパ節とは、癌が最初に転移するリンパ節で、このリンパ節に転移がなければ、他のリンパ節にも転移がないと考えられています。術中にセンチネルリンパ節生検を行い、迅速病理検査で転移がなければ無用な腋窩リンパ節郭清を避けることができます。なお、平成16年春にブレストチームを立ち上げ、チームで治療・ケアにあたっております。

(ブレストケアチームはここをクリック)

内視鏡下手術
内視鏡下手術は、胆石のみなら ず胃癌や大腸癌、肝癌、食道癌、食道アカラシア、クローン病、潰瘍性大腸炎、副腎腫瘍、膵良性腫瘍、乳癌など多くの疾患で可能となっています。内視鏡下手術は、創が小さく低侵襲で術後の回復が早いのが特徴です。患者さんのQOLを考慮して、適応例には内視鏡下手術を積極的に施行しています。

日帰り手術
日帰り手術や処置は、乳腺腫瘍 摘出手術、肝癌に対するラジオ波凝固療法などで既に行っております。また、胃や大腸のポリープや早期癌に対しては、内科および内視鏡センターの協力のもと 内視鏡下切除を行っています。なお、ヘルニア、痔核、胆石などの手術は、土曜日にも行っており、週末を利用した数日間の入院で治療できるようにしています。日帰り手術や短期入院手術などは、患者さんの要望にできるだけ沿えるように配慮しています。現在、ヘルニア、痔核、胆石などは、手術前日に入院し、術後1~7日で退院しています。ヘルニアの日帰り手術を行うことは可能ですが、患者さんの病態によっては、短期間入院して治療した方が良い場合がありますので、担当医とよくご相談下さい。

進行再発癌の治療について
手術不能の進行・再発癌に対しても集学的治療を施行し、QOL(生活の質)と予後の改善に努めています。例えば、進行食道癌や胆道癌に対し、expandable metallic stent(EMS)を挿入して狭窄を解除し、摂食を可能にしたり、黄疸を改善させたりしています。進行再発癌に対する治療は、いくつかの選択肢があるため、患者さんと家族の方の意向を大切にして、十分な説明と同意のもとに行っております。