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肺癌治療(化学療法)についての Q&A

 Q:呼吸器内科では肺がんにどのような治療を行うのですか?

A:肺がんの内科的治療には、抗がん剤投与、分子標的製剤の投与、放射線治療、緩和ケアなどがあります。抗がん剤や分子標的治療を特に化学療法と呼んでいます。
呼吸器内科では手術の対象とならない肺がんの方や、手術後に再発された肺がんの方を中心に治療を行っています。

 

Q:手術を受けることができれば、内科的治療は必要ないのですか?

A:手術可能な早期肺がんであっても、手術後に再発することは珍しくありません。手術を受けられた方の一部の方に、術後化学療法をお勧めすることがあります。術後化学療法は呼吸器内科で行っています。

 

Q:化学療法は入院しないとできないのですか?

A:従来は副作用のため、入院で行うことが普通でした。近年、副作用の少ない新規抗がん剤が登場してきたため、これまで入院で行われてきた化学療法が外来でも安全に投与できるようになってきました。また、分子標的治療(イレッサおよびタルセバ)は内服治療であり、外来での投薬になります。
初めての化学療法を受けられる方には、先ず入院していただいて初回治療(※1)を行い、副作用や安全性を評価した上で、外来での治療を行うようにしています。
入院中もクリニカルパス(※2)を導入し、入院がスムーズに進むよう努力しています。

※1)1st.line(ファーストライン)と呼ぶこともあります
※2)クリニカルパスとは、入院中の検査や治療、看護ケアなど、医療行為の予定をまとめた診療スケジュール表のことです。私たちも入院期間16日の肺がん化学療法クリニカルパスを作成し、現在活用しています。クリニカルパスを用いた肺がん化学療法はチーム医療を確立し、安心して治療を受けることができると考えます。

 

Q:外来化学療法に不安があります。

A:私たちは進行肺がんを慢性疾患であると考えます。残念ながら、一時期に集中して治療を行えば治癒するものではありません。治療は長期間継続することがほとんどであり、入退院を繰り返すため、ご自宅で過ごす時間、ご家族と過ごす時間が制限されがちです。私たちはご自宅で生活しながら治療を受けられることが重要と考えており、外来化学療法を積極的に取り入れています。現在、抗がん剤点滴による外来化学療法を約50~60例/月施行しています。
外来での治療に不安を感じられる方もおられると思いますが、症状の変化に際しては救急対応で万全を期しています。 スタッフも化学療法で起こりえる副作用、重篤な合併症の可能性を考慮しながら、診療を行っています。もちろん、病状によっては、やはり入院治療を中心に考えるべき方もおられます。

 

Q:外来化学療法を受けるのに条件がありますか?

A:外来化学療法を受けられるには、以下の条件を満たしていただく必要があります。

①肺がんであると病名告知を受けておられる方(化学療法の副作用をご本人に理解していただくためにも必要です)
②全身状態がよく、外来通院が可能な方
③通院や緊急時の入院にご協力いただけるご家族、ご親族、ご友人がおられること
(急に体調が崩れた場合、お1人で受診されるのは病状が更に悪化する危険を伴うからです)

 

Q:外来化学療法の実際の手順を具体的に教えてください。

A:以下の手順になります。

①外来化学療法を開始する前に、上で説明したように、先ず入院で化学療法を行い、副作用や合併症のチェックを行います。外来で安全に継続できるように抗がん剤の投与量も見定め、その上で外来化学療法を行います。

②外来化学療法を受ける日は、その日の診察の前に採血検査(時にX線検査)を行います。検査結果の確認と医師の診察を受けてから抗がん剤を点滴します。

③抗がん剤点滴が終わったら、診察を受けてから次回の予約をしてお帰りいただきます。

④外来化学療法への移行が決まれば、入院中に外来化学療法センター看護師によって、外来治療当日の流れ、自宅での過ごし方などの説明があります。また、治療を受ける上で気がかりとなっている事柄をお聞きし、不安なく外来治療へ移行できるように準備をさせていただきます。

☆外来化学療法を受けられている期間、体調の急な悪化がある場合は当院を受診していただきます。

 お配りしている化学療法のパンフレットです。抗がん剤治療の基本から、治療法の説明、副作用などについての注意事項を載せています。

 

PDFファイルでダウンロードできます。

 

以下に当院呼吸器内科の外来化学療法(抗がん剤と分子標的治療:イレッサ)の結果をまとめした。

 

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約10年間、計387名の方の経過をまとめました。

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全身状態(ECOG PS)の説明
0 :全く問題なく活動できる。 発病前と同じ日常生活が制限なく行える。
1 :肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は 行うことができる。 例:軽い家事、事務作業
2 :歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。 日中の50%以上はベッド外で過ごす。
当院で外来化学療法を受けられた方は、PS1の方が314名と大半を占めています。

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レジメンとは使用する抗がん剤の組み合わせのことです。
当院で多いのは標準的レジメンであるパクリタキセル+パラプラチンです。

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1st.line:1種類目に行った化学治療のこと
2nd.line:2種類目に行った化学治療のこと
PTX:パクリタキセル、CBDCA:パラプラチン、GEM:ジェムザール、NVR:ナベルビンDTX:ドセタキセル、Gefinitib:イレッサ(内服)、S-1(内服)

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CR:がん病変が完全になくなった状態(治療有効)
PR:がん病変の50%以上がなくなった状態(治療有効)
NC:がん病変に変化がない状態
PD:がん病変が治療前よりも大きくなった状態(治療無効)
CRとPRの率を併せて奏功率といい、治療の有効性の指標とします。奏功率は37.5%と標準的な結果となっています。


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プラチナ(白金)製剤にはシスプラチン(CDDP)やパラプラチン)が含まれます。これ以外の抗がん剤はノンプラチナ(非白金)製剤と総称することがあります。
NC:GEM/NVR療法はノンプラチナ併用療法です。ノンプラチナ併用療法は副作用が比較的穏やかであるため、体力のない方に対して選択することが多く、奏効率がPTX/CBDCAよりも低いのはこのためと考えられます。

 

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1999年8月から2008年5月までに外来化学療法を開始した肺がん全387症例(観察期間2008年12月まで)について私たちが行っている外来化学療法の妥当性を検証するため、奏功率・生存期間中央値・1年生存率を検討しました。結果は奏効率が37.5%生存期間中央値が17.8ヶ月、1年生存率が62.2%と良好な結果でした。よって、私たちが行っている肺がんの外来化学療法は妥当であると考えます。

☆補足いたしますが、肺がんで使用される抗がん剤のレジメン(組み合わせ)はここに示した以外にも多数あります。ここで示したレジメンは外来化学療法で採用しているもののみです。現在も多用されているシスプラチンを含むレジメンは、現時点では主に入院で行っています。

 

Q:術後補助化学療法について教えてください

A:最近では進行肺がんの方だけではなく、早期肺がん手術を受けられた方の一部3)に行われる術後化学療法が増加しています。呼吸器内科でも2004年から術後補助化学療法を始めております。
2004年度の米国臨床腫瘍学会(ASCO)4)にて、肺がん手術後の術後化学療法が推奨されました。早期肺がんであっても、手術後にただ経過観察をするだけよりも、更に化学療法を受けたほうが再発を抑えられ、生存が向上することが確認されたためです。また2005年の国内の肺がん診療ガイドラインにも、術後補助療法を行うべきと改定されています。
当院では呼吸器外科と呼吸器(内)科が協力し、肺がんの再発を抑えるために、術後補助化学療法に積極的に取り組んでいます。 1コース目はクリニカルパスを活用して16日間入院し治療を行い、以後2~4コースは外来で化学療法を行っています。入院の期間が短いため、普段どおりの生活を過ごしながら治療できるのが当院の特徴です。
3)ⅠB期以上の進行を認めた場合です。ⅠA期の場合は推奨されていません。
4)世界で最も権威のある、がんの治療・研究に関する学会です。

 

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これは病期(病巣の広がり具合)別の生存曲線です。Ⅰ、Ⅱ期の早期肺がんであっても再発しやすいため、5年生存率は決して十分なものではありません。
2004年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された大規模臨床試験の結果をご覧ください。

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略称JBR.10という臨床試験では、ⅠB期とⅡ期の早期肺がんである合計482名の方が対象となりました。手術後に経過観察のみを行う方と、抗がん剤治療(シスプラチン+ナベルビン)を受けられた方の生存率を比較したところ、抗がん剤治療を受けた方が生存率がよかったと示されました。
以上の世界的な研究成果を踏まえ、当院でも術後補助化学療法を開始しました。

 

Q:具体的に外来化学療法室の様子を教えてください

A:2003年6月より抗がん剤治療を専門に受け持つ外来化学療法室が開設されました。
電動リクライニングチェア11台・ベッド1床の計12床で、専任の看護師を配置し、安全でリラックスした環境を心がけています。
各チェアには液晶テレビを設置し、液晶DVDテレビも1台導入してアメニティの充実を図り、にもご好評をいただいております。

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患者さんにはナースコールを持っていただき、点滴の終了や体調の不調を連絡していただきます。

がんと闘病される患者さんのストレスを少しでもほぐすため、様々な設備を整えています。

 

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Q:外来化学療法室はどれくらい利用されているのですか?
 

A:この数年間の利用状況をお示します。
呼吸器内科では毎月50~60例、外来化学療法をおこなっています。

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当院で外来化学療法をよく行っているのは、肺腺がんや扁平上皮がんなど、非小細胞肺がんです。

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現状では2時間程度で終了するレジメン(抗がん剤の組み合わせ)が多いです。

以上、当院で行っているがんの化学療法について、外来化学療法を中心にご説明申し上げました。
もちろん、外来化学療法は肺がんの内科的治療の一部です。入院を中心とした化学療法、また緩和ケア、放射線治療など、患者さんの病状にあわせて、適切な治療方針を選択するよう努めております。

 

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