診療方針

症状別アドバイス

疲れやすい、体がだるい

心臓の病気では左心不全が考えられます。

心臓が全身に十分な血液を送り出せないため、体の隅々に酸素が行き渡らなくなり出現します。
疲れがなかなかとれない場合には一度心臓の検査を受けて心不全によるものかどうか評価した方が良いでしょう。
またこの時血圧を保とうとするために交感神経系(血圧や脈拍を上昇させる神経)が興奮し冷や汗をかく事もあります。

食欲がない、おなかが痛い

心臓の病気では右心不全が考えられます。

体に余分な水分が貯留すると内臓のむくみとして現れてきます。
消化器(特に腸)、肝臓は特にむくみの影響が出ることが多く、食欲が無くなったり腹痛が出現したり黄疸が出現します(白目が黄色くなる)。心臓の病気であっても消化器の症状が出現することもあるので注意が必要です。

胸が痛い、重苦しい、もやもやする

心臓の病気では虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、もしくは不整脈、大動脈疾患、肺血栓塞栓症が考えられます。

■狭心症
狭心症では心臓に血液を供給する血管(冠動脈)が狭くなった所に運動などの負荷がかかることで心臓の筋肉に酸素が欠乏(虚血)し、胸痛などの胸部症状が出現します。

■急性心筋梗塞
急性心筋梗塞では冠動脈が完全に詰まってしまい長く続く胸痛が出現します。
虚血性心疾患は命に関わることもある危険な疾患であるためこれらの症状を認めた時には躊躇せず受診してください。

■不整脈
頻脈性・徐脈性不整脈が出現する場合にも、これらの症状を自覚する場合もあります。

■大動脈疾患
解離性大動脈瘤や大動脈瘤の破裂などによっても同様の症状が出現します。

■肺血栓塞栓症
長く座っていた後、急に立ち上がった時に急激な呼吸困難が出現したときは、肺動脈に血栓がつまった肺血栓塞栓症が考えられます。

息苦しい、横になるよりおきているほうが楽

心臓の病気では左心不全が考えられます。

左心が弱ってくると送り出せなくなった血液が肺にたまり呼吸の妨げとなり息苦しさが出現します。
ひどい状態になると肺水腫(肺の中が水びたし)になりピンク色の泡立った痰が出たり、喘息のようにゼエゼエと喘鳴がします。この時には寝転ぶよりも座るほうが重力の影響のため心臓に帰って来る血流量が減少するため楽に感じます(起座呼吸)。

ボーっとする、めまい、気を失うことがある

心臓の病気では不整脈・大動脈弁狭窄症が最も疑われます。
脳に十分な血流を送り出せなくなる場合このような症状が出現します。

■不整脈
<徐脈性不整脈>
徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)では心臓の動く回数が通常より少なくなるため脳の血流が低下します。

<頻脈性不整脈>
頻脈性不整脈(心室性頻拍など)では心臓が多く動き過ぎて空回りしてしまいます。
これらは突然死の原因にもなり早い対策を練ることが必要です。現在ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)といった治療もすすんでおります。

■大動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症のように心臓の出口が狭くなり血液を拍出しにくくなる病気の場合にも出現します。

むくみがある、おしっこが出にくい

心臓の病気では右心不全・左心不全が考えられます。

心臓は血液を全身にくまなく回すポンプの役割をしています。
特に右心の前で血流が滞ると血管の中で余った水分が足や顔などに移動してむくみが出現します。

尿を作り出す臓器である腎臓に十分な血液(おしっこの原料となる)を送り出すことができなくなると水分を外に出せなくなりむくみを余計に悪くします。

脈が規則正しくない

心臓の病気では不整脈が考えられます。

正常な心臓は規則的なリズムを刻んでいますが、不整脈が出現すると、正常なリズムの中に余計な脈が割り込んできたり(期外収縮)、リズムそのものが不規則になったり(心房細動)します。

これらは不快感があるだけでなく放置しておくと合併症(脳卒中・突然死につながる不整脈)につながることもあります。

また不整脈が出現する原因となる病気が隠れている可能性もあり検査をお勧めします。