血圧が高い(高血圧)とは血管の圧力が高い状態にあることを意味します。高血圧の状態では、血管の圧力が高いために、血管に血液を送り出す心臓の負担は大きくなります。この状態が長期間続くと、送り出す心臓の筋肉が発達し筋肉隆々の状態になります。筋肉隆々というと力強いイメージですが、筋肉がつき過ぎてしまうと、心臓が硬くなりすぎて広がりにくくなってしまい、血液を送り出す効率が悪くなってしまいます。このように高血圧が原因で心臓に障害が起こっている状態を高血圧性心疾患と言います。治療としては、まず高血圧を治すことが重要となります。禁酒、禁煙、暴飲暴食の禁止、塩分制限食などの日ごろの注意が必要です。
心筋炎は心臓の筋肉に感染(原因としてウイルスが多い)・炎症がおこり、筋肉が壊れて心臓の働きが弱くなる病気です。この病気は筋肉が軽い風邪を引いたような、時間とともに自然に治る軽症から、心臓が動かなくなり人工心肺を必要としたり、死に至る重症なものまで様々な病態を生じます。多くの場合は発熱、 咳、全身倦怠感等の風邪のような症状や吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状に続き、動悸、胸痛、息切れ等の症状がでます。重症では心臓の血液を全身に送る働きが弱まったり、心臓が動かなくなったり、心臓が突然痙攣のように震えだす(不整脈)ことも生じます。必ずしもこれらの症状が全部あるわけではなく、症状の程度もほとんど無症状の場合もあり軽い風邪と見過ごされやすい注意が必要な病気です。早めに心臓の専門家の診察を受ける事が重要となります。
心筋症とはなんでしょう?それは、心臓の筋肉自体の病気のことです。心筋症の原因はいくつかあります(例えば後述する心筋梗塞の後遺症や薬物など)。その中で原因不明のものを特発性心筋症といいます。いくつかの種類がありますが,代表的なものをあげます。
心臓が大きくなってしまい,心臓の動きも悪くなる病気です。症状の程度や重症度は患者さんによって様々です。最初は無症状のことが多く,次第に体に十分な 血を送ることが出来なくなるのに伴い,体がすぐに疲れたり,体が浮腫んだり,息がしんどくなるなど,心不全の症状を来たします。また,致命的な不整脈が出現することもあります。
心臓の筋肉が不均等に分厚くなってしまい,しなやかに広がることが出来なくなってしまう病気です。無症状のことも多いですが,すぐに体が疲れたり,胸痛を 感じたりすることもあります。また,不整脈を起こして失神したり,突然死したりすることがあります。中には,経過中に上記の拡張型心筋症のように心臓が大きくなり,心臓の収縮力も落ちてしまい,重症の心不全になることもあります。
心臓の中には、逆流を防ぐために4つの弁が存在します。左心房と左心室を結ぶ弁を僧房弁、左心室と大動脈を結ぶ弁を大動脈弁、右心房と右心室を結ぶ 弁を三尖弁、右心室と肺動脈を結ぶ弁を肺動脈弁といいます。 それらの弁が障害される病気が弁膜症です。
逆流症には弁が変性してきちんと閉じなくなったために正常の血流の逆方向に血液が戻ってきてしまう現象です。
狭窄症は弁膜が厚くなったり,堅くなったりしてしなやかな動きができなくなり,こわばって血流を妨げるようになる現象です。
また狭窄と逆流が同時におこることもあります。弁膜症による心臓への負担が強ければ、心不全の原因となります。
弁膜症の程度、心臓への負担の程度を評価するのには聴診、胸部レントゲン、心エコー検査を用います。
特に心エコー検査は弁膜症を評価するのに非常に重要な検査です。
弁膜症が軽度であれば経過観察で十分です。しかしながら重度となると治療が必要であり、心負荷を軽減する目的に利尿剤などが使用されます。しかしこれは対症療法であり、根治療法としては、手術など侵襲的な方法が必要になります。
心不全とは、何らかの理由(心筋梗塞、弁膜症、高血圧など)で心臓に障害が起こり、それにより全身の酸素需要を満たすだけの血液を拍出できない状態であり ます。
これは病気そのものではなく、病気により生ずる症候群を意味します。 心不全には左心不全と右心不全があり、左心不全は肺うっ血による呼吸困難感を、右心不全は浮腫(むくみ)、嘔吐および全身倦怠感を主に示します
内服薬による治療を行います。致死的な不整脈がでる場合には埋込み型除細動器を植込むこともあります。また、内服薬では十分に治療できないこともあり、特殊なペースメーカーを使用したり、人工心臓や心臓移植が必要になることもあります。
心臓はからだのすみずみに血液を送り出している大切な臓器ですが、いろいろな病気が原因で心臓の力が弱くなると、からだが必要な量の血液を送り出す事が難しくなります。このような状態が心不全患者さんのからだの状態である『心不全』です。心不全をそのままにしていると、悪化する一方です。悪化を防ぎながら、少しでも心臓の力を回復させるためには、薬などの治療とともに、患者さんご自身の日常生活管理がとても大事です。
当院では心不全患者さんの日常生活管理のお役に立てるよう、心不全患者さんに対する診療プログラムを行っております。そのひとつが、心不全について学ぶ講義と定期的な医療面談によるサポートです。
当院では毎月1回最終土曜日に患者さんとご家族の方を対象に『心不全教室』の講義を実施しております。スライドや動画を使って心臓の働きから、どのようにして心不全の状態になるか、具体的にどのようなことに気をつけて日常生活をおくる事が大切かといったことが中心となります。医師からは病気について、看護師からは日常の気を配ることについて、薬剤師からはお薬について、栄養士からは塩分を控えた食事についてといったようにチームでの講義形式となっております。完全予約制で人数は1回あたり10名程度としており、質疑応答の時間もあります ので普段の診療時間ではゆっくり聞けない質問等もお持ちよりください。
講義受講後は医療面談サポートにはいります。医師による定期診察受診とは別に専任看護師による生活の確認、疑問の解決、その他の相談のための時間になります。1回あたり15-20分の時間を目安としております。 参加御希望の方はお気軽に当院心臓センターまでお問い合わせください。皆様の参加をお待ちしております。