診療方針

大動脈疾患

大動脈瘤

大動脈瘤は多くの場合無症状で、胸部大動脈瘤の場合は声がかれる症状で気づくことがありますが、胸のレントゲンで発見されることが多いものです。腹部大動脈瘤の場合はおなかで拍動、しこりを触れることで受診されることが多いです。その他、胸部大動脈瘤では食道圧迫による嚥下障害、気管や気管支、肺の圧迫による咳や血痰、呼吸困難等、腹部大動脈瘤では消化管の圧迫による腹部不快感や腹痛、嘔吐などがみられます。胸部や胸腹部大動脈瘤は50~60歳に多く、腹 部大動脈瘤は60~70歳に多いとされ、いずれも男性に多いのが特徴です。胸部大動脈瘤は6cm、腹部大動脈瘤は5cmが致死的な破裂の危険が高まり、手術適応と考えられています。図1のようにCTで体全体の動脈を映し出すことが可能です。図1は腹部大動脈瘤約5cmの例です。

解離性大動脈瘤

解離性大動脈瘤は動脈が中膜のところで二層に剥離して、2腔となった状態をいいます。
隔壁によって、本来の動脈腔と動脈壁内に新しくできた腔の2腔が作られ、良腔は交通しています。
解離の原因は不明ですが、動脈の脆弱性や高血圧などの背景因子などの関連が言われています。
発症時は、胸痛や背部痛などの症状があることが多く、その際に心電図や胸部レントゲン写真、CT、経食道エコーなどを使用して診断されます。
治療の原則は、急性期破裂や心タンポナーデ、臓器障害の予防が大切で、そのためには緊急外科的治療が必要なことがあります。