診療方針

感染性心内膜炎

感染性心内膜炎は血液を通じて心臓の弁に細菌が付着し、炎症性の変化をすることにより様々な症状を来たす病気です。

先天性二尖弁を含む先天性心疾患、器質的弁変性を基盤に菌血症から発症する場合が多いのですが、障害のない弁に炎症を来たす場合も少なくありません。菌血症を起こす原因としては慢性的な歯科疾患、歯科手術が多く他に内視鏡的処置、泌尿器科的処置、中心静脈カテーテル留置状態などが挙げられます。ヒトでは感染後2週間から発熱、全身倦怠感、食指不振、体重減少などの臨床症状を来たし、未治療の場合発症から死亡までの平均で約1ヶ月から6ヶ月と言われております。
穿孔性の弁破壊を来たすことがあり、心臓弁機能不全による心不全を発症することがあります。破壊性の病変が心臓刺激伝導系まで障害すれば房室ブロック等の不整脈を来たすこともあります。

診断には主に血液培養での菌血症の証明、心エコーでの心臓弁に付着した菌塊が用いられます。
治療としては抗生剤の経静脈的大量投与が基本となりますが、細菌が付着し、破壊された弁の補修のため心臓外科的な手術が必要となる場合もあります。

合併症としては心不全、脳、脾、肺など全身の塞栓症,感染性脳動脈瘤が挙げられます。合併症としての心不全は予後不良で、手術治療が原則であり全身の感染のコントロールの前に必要となる場合もあります。

長引く発熱の後に倦怠感や呼吸苦、足の浮腫みなどが見られたり、心雑音が指摘されたりした場合には早期の専門医の受診をお勧めします。