診療方針

下肢閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症について

動脈硬化とは、血管にコレステロールなどがたまり、狭窄(きょうさく)(血管が狭くなる)や閉塞(へいそく)(血管が詰まる)が起こる状態をいいます。動脈硬化は糖尿病や高血圧、高脂血症(こうしけっしょう)といったいわゆる生活習慣病があると、さらに起こりやすくなります。

 動脈硬化が起こると、その血管の先の臓器に障害が起こります。例えば、心臓に栄養や酸素を送る血管である冠動脈(かんどうみゃく)に動脈硬化が起これば 「狭心症(きょうしんしょう)」や「心筋梗塞(しんきんこうそく)」、脳に栄養や酸素を送る血管である頸動脈(けいどうみゃく)や脳動脈に動脈硬化が起これば「脳梗塞(のうこうそく)」、足先に栄養や酸素を送る血管に動脈硬化が起これば「閉塞性(へいそくせい)動脈(どうみゃく)硬化症(こうかしょう)」 といった病気の原因となります。

 閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)は、手や足の血管の動脈硬化により、狭窄や閉塞を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなる病気で、手足にさまざまな障害が現れま す。

こんな症状にご用心!
閉塞性動脈硬化症かもしれません。
このような症状などは必ず医師に伝えましょう!

  • 歩行中にふくらはぎの痛み、お尻のあたりに痛みを感じる。
  • 痛みは安静にすると改善する。
  • 下肢に冷感がある。
  • じっとしていても足に痛みを感じる。

特に以下の病気で通院している方は注意が必要です。
次に当てはまる場合には、必ず医師に伝えましょう!
次の病気にかかったことがある。または現在治療中である。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 高脂血症(コレステロール値が高い、中性脂肪が高いなど)
  • 肥満
  • 虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)(狭心症、心筋梗塞など)
  • 脳血管疾患(のうけっかんしっかん)(脳梗塞など)

次の生活習慣がある。

  • 喫煙

MDCT カテーテルをせずに狭窄部位を診断

閉塞性動脈硬化症の治療
 閉塞性動脈硬化症の運動療法とは、主に「歩く」ことです。太い血管が狭窄や閉塞を起こすと血液の流れが悪くなり、歩行時に筋肉(ふくらはぎが多い)が痛くなるので歩行に支障を来します。しかし、無理のない距離を「歩く」ことで周囲の細い血管(側副血行路(そくふくけっこうろ)というバイパスとなる血管)が発達し、血液の流れが改善するので、長い距離を歩くことができるようになります。

 運動療法には、医療機関で行う監視下運動療法(かんしかうんどうりょうほう)と、医師の指導のもとに自宅で行う在宅運動療法(ざいたくうんどうりょうほう)があります。監視下運動療法を行った患者さんの場合、1ヵ月で歩行距離は約2倍、3ヵ月では約3倍に増加することがあります。その後も在宅運動療法を続けることにより、治療効果を維持し、場合によってはさらに増加させることも期待できます。

運動のポイント
・1回30分程度、1日2回で毎日行うのが理想的です。
・最低でも1日30分、週3回は行うように心掛けましょう。
・寒い日は屋外で行わず、屋内で行いましょう

薬物療法の効果
血管拡張作用、微小循環改善作用
抗血小板作用 病変が進行したり、血栓で詰まることの予防
運動療法との併用で、歩行距離の延長

入院を要する治療
カテーテル治療

バイパス手術 人工血管を使い血流を改善させる

大阪警察病院 心臓センターでは 閉塞性動脈硬化症に対して、積極的に予防、治療を行なっております。
閉塞性動脈硬化症のご相談、外来受診お待ちしております。