各種検査

運動負荷試験および運動療法について

  • 運動負荷検査

エルゴメータ:心電図、血圧を測定しながら坐位にて自転車をこぎ、心電図変化等より運動耐容能、心筋虚血を評価する検査です。外来での予約が必要です。

トレッドミル:心電図、血圧を測定しながら立位にてベルトコンベアー上で走り、心電図の変化等より運動耐容能、心筋虚血を評価する検査です。外来での予約が必要です。

心肺運動負荷試験:心電図、血圧を測定しながら呼気ガス分析を行い、運動耐容能、心筋虚血を評価する検査です。心臓リハビリを施行する際の基礎データとして使用されます。外来での予約が必要です。

心臓リハビリテーション(当院通院患者様のみ) :心筋梗塞後のquality of lifeの向上を目指し発症後6ヶ月まで通院にて行う監視型リハビリ及び自宅での在宅リハビリの指導を行っています。

心臓超音波検査

〇心臓超音波検査とは?

心臓超音波検査(心エコー)とは、超音波を心臓に発信して、返ってくるエコー(反射波)を受信し、心臓の様子を画像に映し出して診断する検査です。
超音波は、臓器や組織にあたると、歪が生じるので、心臓からエコーを受信して画像に映し出し、心臓の動きを観察します。X線撮影や核医学検査のように放射線による被曝の心配がありませんので、妊婦や乳幼児でも安心して受けることができます。

〇心臓超音波検査でわかること
この検査を行なう目的は二つあり、一つは心臓の解剖学的異常を診る形態的診断と、もう一つは心臓の働きを診る機能的診断です。特に、心臓は常に拍動していますが、その動いている状態をそのまま観察できる、とても心疾患の診断にはとても有用な検査です。
心室や心房の大きさや壁の厚さ、壁の動き、弁の形態や動きなどがわかります。カラードップラー法を併用すると、心臓の中の血液の流れを映し出すことができ、弁の異常や壁に穴があいているかどうかなどの異常を発見できます。さらに、血流速を測定することで、心臓の内圧を推定できます。

〇心臓超音波検査はどのような検査
一般的な心臓超音波検査(経胸壁心臓超音波検査)は、胸部を露出してベッドに仰向けになって寝ている状態で、プローブと呼ばれる超音波発信機を肋骨の隙間に沿うようにあてて行なわれます。プローブと皮膚の間には隙間が開かないように、ゼリー剤を塗ってピッタリと密着させます。プローブは超音波画像モニターにつながっており、その場で画像を見て診断します。同時に心電図もとりますので、前胸部や手首と足首に電極をとりつけます。検査にかかる時間は20~30分ほどです。

〇負荷エコー検査
負荷心エコー検査とは、運動や薬物などにより心臓に負荷を加えることで心臓の動きの変化をリアルタイムに評価する検査です。当院では主にドブタミンという強心薬を用いることにより、虚血心筋や、壁運動低下を有する領域の心筋の生存の検出などに用いており、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)やバイパス手術の適応決定に有用です。

〇経食道エコー検査
経食道エコー検査とは上部消化管内視鏡(胃カメラ)のようなプローブを口から挿入し、食道および胃より心臓を観察する方法です。体の表面からでは十分に観察できない左心房、左心耳、僧帽弁、心房中隔、肺静脈、大動脈弁、大動脈などの評価に高い有用性が認められます。

〇心臓超音波検査が診断に大きく関与する疾患・病態
心不全 肺高血圧 心肥大 急性心筋梗塞 陳急性心筋梗塞
心臓弁膜症 拡張型心筋症 肥大型心筋症 先天性心臓病狭心症、無症候性心筋虚血(負荷エコー検査)
冬眠心筋、気絶心筋の検出(負荷エコー検査)

〇心臓超音波検査が時に有用になる疾患
急性肺塞栓 急性大動脈解離 胸部大動脈瘤

核医学検査(RI)について

心臓核医学(RI)とは心臓の画像診断の一つで、心臓の筋肉(心筋)の状態についての非常にくわしい情報を得ることができる検査法です。
特に心筋梗塞、狭心症といった病気について、3本ある心臓を栄養する冠動脈のどれが、どれくらい障害されているかなどについて予想することができます。
症状がないのに冠動脈が狭くなって心臓の筋肉に血液が十分届かないという早期の状態を発見することもできます。
また糖尿病をお持ちの方は心筋梗塞、狭心症といった病気の症状が出にくいことがよくあり、診断が遅れがちです。
このような場合についても心臓核医学では異常を発見し、対策を立てることができます。
 当院では心臓核医学検査は原則として予約制ですが、急性心筋梗塞の疑いのある患者さん、不安定狭心症の患者さんについては、受診された当日に緊急で検査を行い、病気のごく早い段階での病状を心臓核医学によって評価することも可能です。
当科で行っている心臓核医学検査は下の通りです。

(1)201Tl (タリウム) 運動負荷心筋シンチグラフィー
動脈硬化によって冠動脈が狭くなってくると、まず、階段をのぼったときなど体を動かしたときに胸の痛みや圧迫感が出てきます。そのような運動と似た状態を検査中につくり出し、調べるのが運動負荷検査です。
検査ではエルゴメーターという自転車による運動を行っていただき、運動負荷時の心筋の状態と、その後約3時間後の安静時の心筋の状態を比較し、その際の症状、心電図の変化とあわせて心筋の血流の状態を比較、評価できます。

201 TI運動負荷シンチグラム

イが負荷像(運動or薬物)、ロが安静の時の遅延像
ハはwashoutの像(イとロの比較)
緑~青色は心筋血流が低下している

(2)201Tl (タリウム) 薬剤負荷心筋シンチグラフィー
 薬剤負荷とは、例えば、腰や膝、足が思わしくないなど、エルゴメーターによる運動が難しい患者さんに、薬剤により一時的に運動負荷に似た状態を起こすことで心筋の血流評価をする検査です。
当科ではATPという薬を使っています。効果は一時的で長く続くことはありませんが、このお薬は喘息をお持ちの患者さんには使うことができません。
当科では(1)及び(2)について年間約1700例と非常に多くの方々に行っています。

(3)201Tc (テクネシウム) 安静心筋シンチグラフィー
急に胸がしめつけられる感じがあり、何時間も続いた、何日も前から毎日胸の痛みが起こるようになってきた、ということで受診され、緊急入院になる場合があります。
この場合、急性心筋梗塞や不安定狭心症の可能性があり、場合によっては緊急に心臓の血管である冠動脈を心臓カテーテル検査で造影し、風船治療により閉塞した冠動脈を広げる必要がある場合があります。
その際に心筋の血流の状態、やられた筋肉が風船治療(PTCA)でどれだけ助かるのか、緊急に行う201Tc (テクネシウム) 安静心筋シンチグラフィーで詳しく評価することができます。
実施できる施設はごく限られており、当科では1997年9月より緊急201Tc (テクネシウム) 安静心筋シンチグラフィーを行っています。

(4)その他
 そのほか心筋交感神経の機能をみる123I-MIBGシンチグラフィーや脂肪酸代謝の程度を評価する123I-BMIPPシンチグラフィーについても行っています。
心臓核医学検査は、緊急例以外はすべて予約制で、申し込みよりほぼ一ヶ月以内で受けることができます。
運動負荷・薬剤負荷の心筋シンチの場合、撮影は午前と午後の二回で午後三時には終了します。

胸部X線検査について

〇胸部単純X線検査とは?
胸部X線検査は、咳が出る、痰が出る、胸が痛い、息苦しいなどの胸部症状があるときに必ず行なわれる検査です。X線は人体を通り抜けますが、骨のように通り抜けにくいところがあるため、通り抜けたX線を画面に写すと濃淡ができ、体内の様子を知ることができます。
胸部X線検査は、X線検査の中で最も簡単な検査方法ですが、肺や心臓、肺の間にある縦隔などの病気について、様々な情報を得ることができますので、幅広く行なわれています。

〇胸部X線検査で何がわかるのか?
胸部X線検査で心臓が大きくなっている (心拡大)、肺が白くなっている(肺水腫)、胸に水がたまっている(胸水貯留)などを認める場合には心不全が疑われます。心臓や血管の影から弁膜症や、大動脈瘤などが指摘される場合もあります。肺の病気の診断にも有用で、肺がん、肺結核、肺炎などでは、異常が白い影として映ります。気胸、肺気腫などは病気のあるところの空気が多くなるので、黒く映ります。

〇胸部X線検査はどのような検査か?
立位での正面像と側面像、ときには側臥位(検査台に寝て横向き)の像を撮影します。撮影のときは息をしっかり止めないと写真がぶれるので注意が必要です。正面撮影では、胸側にフィルムを置き、背中側からX線を照射します。大きく息を吸い、しっかり止めたところで撮影します。
次に横を向き、同じように撮ります。側面像では、肺が心臓や横隔膜、助骨などと重なって、正面像では判定困難な変化を見つけることができます。なお、側臥位撮影は胸水が疑われるときに行ない、胸水のたまり具合がよく判定できます。

〇循環器疾患で、胸部単純X線検査が診断に大きく関与する疾患・病態
心不全 胸水貯留 肺高血圧 心嚢液貯留 各種先天性心疾患 
収縮性心膜炎(石灰化を伴う)

〇胸部単純X線が診断に有用でない疾患
冠動脈疾患(急性心筋梗塞も含む) 高血圧 不整脈

〇胸部単純X線検査が時に有用になる疾患
急性肺塞栓 急性大動脈解離 胸部大動脈瘤

心電図・ホルター心電図検査について

〇心電図検査とは?
心臓が全身に血液を循環させるために収縮と拡張を繰り返すとき、微弱な活動電流が発生します。その電位を波形として記録し、その乱れから病気の兆候を読み取ろうとするのが心電図検査です。心臓の疾患に関する検査の中では比較的簡単に行えるものであることから、病気発見の第一の手がかりとしてよく用いられます。
一般的な心電図(安静時心電図)は安静状態で測定しますが、必要に応じて、運動時にとる負荷心電図や、24時間通常の生活中にとるホルター心電図などの検査も行なわれます。心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認、薬の副作用の発見などに欠かせない検査です。電解質(カルシウムやカリウムなど)の異常もわかります。

〇運動負荷心電図とは?
エルゴメーターやトレッドミルといったスポーツジムでも見られる運動器具で運動時に心電図を記録します。
狭心症や無症候性心筋虚血を疑う場合
徐脈患者の治療方針決定
不整脈患者の予後や治療方針の決定
などに有用です。異常が認めあられる場合には、心臓カテーテル検査、経皮的冠動脈インターベンション、カテーテルアブレーション、ベースメーカー植え込みなどの治療や検査が必要となります。

〇ホルター心電図とは?
動悸、意識消失、胸痛のある場合で、安静時心電図では、不整脈や狭心症を疑う検査結果が得られない場合に施行されます。不整脈や胸痛時に特異的な心電図が認められた場合には診断に有用です。24時間心電図を付けていただきます。検査当日はお風呂やシャワーは出来ません。その他、心不全の予後の判定や、抗不整脈薬の治療効果の判定にも有用です。

〇心電図が診断に大きく関与する疾患
各種不整脈 心肥大 急性および陳急性心筋梗塞 不安定狭心症
狭心症(負荷心電図) 電解質失調

心臓カテーテル検査

外来での検査の結果心臓に病気が存在すると考えられたとき、確定診断のために心臓カテーテル検査が必要になることがあります。
外来担当医と相談の上、心臓センター外来にて入院の申込をしていただきます。申込後、病状や混み具合により多少の変動はありますが、2、3週間待ちで入院となります。入院期間は通常3日から4日程度です。
検査は大腿動脈(足の付け根の血管)あるいは上腕動脈(腕の血管)等から局所麻酔(痛み止めの注射)をしてカテーテルという細いストローみたいな管を心臓まで挿入し、検査を行います。

局所麻酔が効いてきた後は血管の中は普通痛みをほとんど感じないため検査による痛みはほとんどありません(だから全身麻酔ではありません)。
この方法での検査(心臓カテーテル検査)には冠動脈造影や心室造影、圧計測、心拍出量計測、電気生理学的検査、心筋バイオプシー、血管造影などがあり、病状に応じて行われます。
なお、急性心筋梗塞など緊急を要するカテーテルについては24時間体制で別途対応致します。

〇冠動脈造影検査

先ほどのカテーテルという管を使って心臓の筋肉に酸素を送って栄養をする血管(正式名称:冠動脈)に造影剤を注入し、レントゲンによって写真を撮る検査です。
いわゆる血管造影検査のことで、この方法は冠動脈に限らず、肝臓の血管や脳の血管に対しても行われています。
冠動脈の血の流れが悪くなると狭心症や心筋梗塞といった病気がおこってくるので、血管のどこが、どれだけ悪くなっているかを造影剤という薬で、血管の影絵をとって調べるわけです。

〇その他

検査時間は約1~2時間ぐらいですが、検査後は動脈の止血のため約8時間程度の安静が必要です。
検査結果は実際の画像をご覧に入れながら退院前にご本人、ご家族に説明させていただき、紹介元の先生にも報告いたしますが、一部結果がでるのに時間がかかる項目もあり、原則として最終結果は症例検討会を経た後、退院後に外来で説明させていただきます。

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