リハビリテーション技術科

診療内容

 当科では、器官機能の維持改善および日常生活動作能力の再獲得を目的に、発症・受傷・手術前後から、急性期リハビリテーション医療(理学療法、作業療法、言語聴覚療法)を提供します。

早期の自宅復帰や社会復帰をめざす、あるいは回復期病院や療養型施設へのスムーズな移行のために、各診療科医師、看護師、MSW(メディカルソーシャルワーカー)などの関連他職種と連携・協働し、チームアプローチを実践しています。

当院は厚生労働省より、脳血管疾患等(Ⅱ)、運動器(Ⅰ)、呼吸器(Ⅰ)、心大血管(Ⅰ)、がんのリハビリテーションの施設基準認可を受けています。

リハビリテーション技術科スタッフは、理学療法士17名(うち3学会合同呼吸療法認定士3名、心臓リハビリテーション指導士2名、サルコペニアフレイル指導士1名)、作業療法士3名(うちNST専門療法士1名)、言語聴覚士5名です。

対象疾患・障害

  • 運動器疾患
    各部骨折、変形性股関節症、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症、脊椎分離・すべり症、椎間板ヘルニア、頸椎症など
  • 脳血管疾患
    脳卒中、頭部外傷、脳腫瘍など
  • 循環器疾患
    心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓弁膜症、大動脈瘤・大動脈解離、ASO(閉塞性動脈硬化症)、心臓外科手術など
  • 呼吸器疾患
    肺炎、呼吸不全、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、喘息など
  • がん
    各臓器がん(胃・食道・腸・甲状腺・乳・肺など)の周術期、緩和ケア期
  • その他
    神経筋疾患、加齢や手術・集中治療に伴う廃用による障害、嚥下障害など

実績

2021年延べ患者数及び実施単位数
疾患分類 延べ患者数(名) 実施単位数(単位)
運動器 9,206 11,848
脳血管 17,586 21,814
心大血管 7,865 8,601
呼吸器 7,131 8,207
がん 9,501 10,475
廃用症候群 10,629 11,834
62,624 72,779

※期間:2021年1月1日~2021年12月31日

理学療法

 理学療法とは、病気、傷害、加齢などによって全身状態や運動機能が低下した状態にある(または低下が予想される)方々に対し、その維持・改善を目的に、運動その他の物理的手段を用いて行う治療法です。また日常生活活動の再獲得を目指して、動作の指導・訓練を行います。

主な内容
  • 関節可動域運動
    関節が固くならないように、関節を動かし筋や関節周囲組織の伸張(ストレッチ)を施します。
  • 筋力増強運動
    筋力低下の予防、改善のために、その状態に合わせた負荷(重錘や徒手抵抗など)を用いて運動を行います。
  • 全身調整運動
    病気や手術、加齢により低下した体力の回復のために(あるいは体力が低下しないように)、早期離床を促し、身体運動を通して全身状態の調整を行います。
  • 基本動作訓練・歩行訓練
    個人の状態や能力、生活環境に合わせて、寝返りや起き上がり、立ち上がり、姿勢保持などの方法、実用的な歩行動作や段差昇降が獲得できるように指導し練習します。
下肢の障害では、関節可動域運動、筋力増強運動などを行います。
疾病・障害状況に合わせて歩行訓練を行います。
心臓リハビリテーション

 心臓リハビリテーションとは、自分の病気のことを知ることから始まり、個人の病態、能力に合わせた運動指導、安全管理、危険因子管理、などを総合的に行うものです。医師、理学療法士、看護師、薬剤師、臨床検査技師など多くの専門医療職がかかわってリハビリテーションプログラムを提案、実施します。理学療法では、心筋梗塞、心不全、末梢動脈疾患、心臓手術前後などの方々に対し、身体運動を通してのコンディショニングや動作方法の指導教育を行います。

運動負荷前に全身調整のために準備体操を行っている様子です。
自転車エルゴメーター(あるいはトレッドミル)を使用し、心電図モニターを確認しながらそれぞれの身体状況に適した有酸素運動を行います。

言語聴覚療法

 言語聴覚療法では、コミュニケーションに問題のある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援するアプローチをします。

 コミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係しますが、病気や交通事故などにより、このような機能が損なわれることがあります。それらは脳血管障害に起因する失語症構音障害高次脳機能障害、そして聴覚障害、声や発音の障害など多岐に渡ります。その問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。

 また、食物の咀嚼や飲み込みに関わる摂食・嚥下障害のある脳血管疾患・循環器疾患・呼吸器疾患・がんの術後などの方にも早期に介入しています。 こうしたコミュニケーションや摂食・嚥下に問題がある方々の社会復帰をお手伝いし、自分らしい生活ができるよう支援するのが言語聴覚士の仕事です。   

失語症 : 大脳の言語中枢が何らかの原因で損傷を受けることで言語を操作することが障害される状態です。 “話すこと・聞いて理解すること・書くこと・読んで理解すること” のいずれもが難しくなる症状を言います。障害の様相や重さには個人差があります。STでは失語症の評価をし、機能回復をできるだけ行うとともに、残された機能を生かしたコミュニケーション方法を模索し活用します。

構音障害 : 伝えたい言葉は分かっているけれども、舌や口唇など構音器官の動きや器官そのものに問題があるために、発音がうまくできず、伝えることが難しくなる症状です。いわゆる呂律が回らなくなる状態です。原因は、失語症と同様に大脳の損傷や癌などの手術による口腔器官の欠損などがあります。発声訓練や構音訓練を中心としたリハビリテーションを行います。

摂食・嚥下障害 : 食べること、飲み込むことの障害を摂食・嚥下障害といいます。大脳の損傷や口腔器官の癌が原因の場合もありますが、認知症や加齢による嚥下機能の低下、また低栄養等で起こる場合もあります。一般的に誤嚥すると「ムセ」が生じるために周囲の方が気づくことが多いのですが、中には知覚が低下しており、「ムセ」が認められず重症化する場合も少なくありません。摂食・嚥下障害のリハビリテーションでは、「食べる・飲み込む」動作の訓練の他、病棟スタッフと連携を取り、その方が食べやすい食事形態を工夫します。

高次脳機能障害 : 人がよりよく生きていくための、注意・記憶・判断・行為・行動・認識等の機能を高次脳機能といいます。事故や病気による大脳の損傷が原因です。高次脳機能が障害を受けると、集中力が続かない、新しいことを覚えにくい、作業の段取りが悪くなる、見えているはずなのに左(右)のものを見落とす…等の症状が出ます。
 リハビリテーションでは機能訓練に加えて、代替手段の獲得に向けた支援が必要です。また、一見分かりにくい障害であるため、周囲の方が障害を正しく理解できるようご説明をし、在宅復帰・職場復帰に向けた支援をします。

脳の疾患で色や形の認識に障害(視覚失認)がある人に対して、色や形を組み合わせる課題をしています。
構音に障害のある人に対して、文字の音読課題をしています。

作業療法

作業療法とは、「身体または精神に障害のある者、またはそれが予測されるものに対して、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復、維持または開発を促す※作業活動を用いて行う治療、訓練、指導および援助を行うこと」(日本作業療法士協会)とされています。
当院では、主に身体に障害を生じた方に対して元の生活を取り戻すことを目的に作業療法を行います。作業活動を以下のように用いて訓練を行います。

※作業活動とは日常生活の諸活動、仕事・遊びなどの人間の生活全般に関わる諸活動を指します。

作業活動を利用した訓練

作業活動を利用して運動機能・認知機能の改善を図ります。
手先の細かな動きは、関節を柔らかくし筋力をつけるだけでは改善を図ることが難しいので、いろいろな物品を利用した訓練によって、手先の滑らかな動きの獲得を目指します。
折り紙や塗り絵などの手先を使う活動を選択し、認知課題として提供します。

日常生活動作の獲得を目指した訓練、指導

日々の生活を営む上で必要となる、更衣・入浴・整容・食事・排泄といった動作の獲得を目指した訓練、指導を行います。
退院後の生活を想定して、仕事に関する動作や家事動作についても、訓練、指導していきます。
服の形や素材の選定・更衣手順の変更などの方法により、更衣動作の獲得を目指します。
スプーンや箸を使用する練習、柄の太いスプーン等の自助具を紹介・動作訓練することなどの方法により、食事動作の獲得を目指します。
必要性に応じて簡易な上肢装具を作成し、手を使う様々な動作の獲得を目指します。

簡易上肢機能検査(STEF)という検査機器を利用し、大小さまざまな物を移動させる時間を計測することで、手の機能について検査することができます。
自助具の箸を使用して食事動作の練習を行っている場面です。箸の使用が難しい方でも使えるように2つの箸が繋がっており、把持しやすい形状となっています。
ペグという器具を利用した練習場面です。作業療法ではさまざまな物品を使用し、物品のもつ特性を利用することで課題の難易度を変更します。

top