薬剤部

はじめに

薬剤部は、高度医療を担うスタッフの一員として、以下の事柄を実践しています。

  • 医療人としての“心”をもって誠実に職務を遂行し、患者さんと医療スタッフとの信頼関係を築きます。
  • 物質・情報の両面で良質かつ適正な薬剤を提供します。
  • 薬剤師としての専門性に立脚し、薬物療法の有用性向上と、患者さんへの有害作用の低減に貢献します。
  • 薬剤師は医療チームの中でチームワークを大切にし、薬のプロフェッショナルとして自らを活かすとともに、チームメイトをアシストします。
  • 科学者として資質を高め、薬物療法にともなう情報や現象を科学し、医療に活かせていきます。
  • 薬剤師としての成長にとどまることなく、“人”としての成長を伴える職場を築いていきます。

組織

薬剤部は調剤課(外来調剤係、入院調剤係、麻薬係、製剤係、医薬品情報管理係)、薬品管理課(薬品管理係、注射薬係、注射薬混合調製係、病棟薬剤業務係)で構成されています。このほかにも、手術医療センターやER・救命救急センターへも薬剤師を配置しています。抗MRSA薬等のTDM解析業務や各チームラウンド(AST、ICT、NST、RRT、ハートチーム、緩和ケア)、糖尿病教室、心不全教室などには、所属する係に関係なく、薬剤部員がローテーションで担当しています。

調剤業務

外来調剤

外来患者さんを対象とした薬の調剤を行っています。
ジェネラリストとしての薬剤師能力を育成する教育方式と、電子カルテシステム・薬剤部門システムによるコンピューター制御機器の導入及びフレキシブルな人員配置によって、ピーク時には30分間あたり約100枚の外来処方箋(約700枚/日)を調剤しています。
また、医師処方時に電子カルテシステムで飲み合わせ・他の薬との重複がないかをチェックし、薬剤師の調剤時には薬の量は適切かなどのチェックを行い、より安全で正確な調剤を実施しています。

散薬調剤
調剤監査
薬お渡し口

入院調剤

入院患者さんを対象とした調剤を行っています。
外来調剤と同様に電子カルテシステムと薬剤部門システムを活用して、質の高い安全性の確保に努めています。1日に7回定期的に処方データを取り込み、調剤、監査を行い各病棟に交付しています。
なお、緊急を要する処方については随時に処方データを取り込み対応しています。

1回量包装(全自動錠剤分包機)
錠剤充鎮システム

麻薬調剤

麻薬及び向精神薬取り締法に則った麻薬の調剤、監査、管理を行っています。さらにこれらの業務に対する入力情報を一元化した麻薬管理システムを構築し、麻薬調剤、管理、各種届出書の作成を連動させた仕組みで運用しています。

麻薬管理システム

注射業務

入院注射調剤

医師の電子カルテからのオーダーに基づき、注射薬処方せんを処方(Rp)単位で施用時間ごとに取込み(1日6回)、注射薬を個人セット調剤しています。
処方の取込み時間を区切ることで、常に最新の処方薬を交付し、タイムラグによって生じる変更前の薬の投薬を防ぎ、さらに薬剤のロスを減らしています。急性期病院では避けることのできない度重なる処方変更に対応するため、未発行の入力済みオーダーは変更可能としています。これにより、薬の誤投薬防止や、調製済み薬剤の廃棄減少につながっています。

注射薬自動払い出しシステム
携帯電子端末を用いた注射薬の取り揃え

注射薬自動調剤機器(ユニプル)を利用して、効率的かつ安全な調剤に努めています。薬剤の取り揃え、監査時には部門システムとリンクしている独自の携帯電子端末(iPad・PDA)を用いて処方の内容、重複などをチェックしています。又、これらの電子端末やPDAは各自の認証番号にて操作するため、各業務を行う中で調剤・監査者が同時に記録されるシステムを構築しました。

注射薬個人セットの調剤・監査

注射薬混合調製(混注)

当院では全診療科、全病棟の注射薬を薬剤部のクリーンエリアで混注し、清潔で正確な混合調製を行っています。

中心静脈から投与する点滴や毒薬などは安全キャビネットを使用し無菌調製を行っています。

末梢点滴の混合調整
無菌調製

がん化学療法

当院は、日本病院薬剤師会より、「日本病院薬剤師会がん薬物療法認定薬剤師研修事業研修施設」に認定されています。

薬剤部では、抗がん剤のレジメン(治療計画書)の管理と混合調製を行っています。抗がん剤のレジメン管理では安全でかつ有効な治療を実施するために、エビデンスに基づいてがん化学療法レジメンを作成しています。抗がん剤の混合調製は、クリーンエリアの安全キャビネット内の無菌的環境下で、入院・外来の患者さんを対象に行っています。また、一部の抗がん剤には閉鎖式接続器具を導入し、抗がん剤暴露防止に取り組んでいます。

安全キャビネット内での無菌混合調製

レジメン例
患者説明用紙
薬剤師外来

抗がん剤服用患者が安心してがん化学療法を受けられるよう、治療内容や副作用対策などの服薬指導を行い、薬剤師としての専門性を発揮できるよう、取り組みを始めています。

支持療法

また薬剤部では、多種多様なレジメンを嘔吐のリスク分類ごとに振り分け、それぞれに見合った制吐剤を適切に取り入れ、患者さんの化学療法による悪心や嘔吐のリスク軽減に取り組んでおり、支持療法にもチームの一員として参加しています。

製剤

患者さんの病態によっては、適切な薬物治療を行うために市販されていない薬剤(特殊製剤)が必要な場合があります。その場合は、医師の依頼に応じ、薬剤師としての薬学的な知識を用いて患者さんの安全性および有効性を検討し、院内倫理委員会での審議を経た上で、院内製剤の調製を行います。
院内製剤の多くはクリーンブースに設置したクリーンベンチ内の無菌的な環境の下、無菌操作で調製を行っており、薬剤の品質確保にも貢献しています。

クリーンブース内のクリーンベンチにおける無菌操作
軟膏調剤・製剤機

医薬品情報管理

医薬品情報管理業務は、薬の情報の収集・整理・保管・提供の他、電子カルテシステムの薬品マスター管理、セット処方作成、各種データ検索・作成、患者さんへのお薬情報提供や質疑応答記録の管理などを行っています。
当院では毎日更新される医薬品情報検索システム「JUS-DI」を全ての電子カルテ端末に設定しており、医薬品の最新情報(添付資料・インタビューフォーム)を院内の医療スタッフが閲覧することができます。

薬品管理

医薬品の購入と医薬品の品質および在庫管理を行います。患者さんに安全かつ高品質な医薬品を供給するために、品質の保証された医薬品を購入し適正な在庫管理、品質管理を行います。それに加え、災害時などの緊急時の薬品供給体制を確保できる在庫管理も行っています。また各病棟、診療科の常備薬の保管状況、使用期限、使用状況などを定期的に点検し、薬学的観点から配置薬の保存状態や使用状況を把握し、定数の更新、保管場所について、常に配慮しています。

薬品管理支援システム

発注・納品業務はコンピューターで一元管理し、医薬品のGS1コード(商品バーコード)を利用してPDAを用いて検品の業務を行います。これにより発注数、納品数などを一目で把握でき、作業の効率化をはかっています。

病棟薬剤業務

各病棟に配置された担当薬剤師が、セントラル業務と連携・協力し、入院時の持参薬の確認、ポリファーマシー評価および服薬計画の提案、複数薬剤の投与前の相互作用確認、病棟における薬品管理、退院時自己服薬に向けた指導・薬剤交付などの薬学の専門知識を発揮し、入院患者さんに対する薬物療法の有効性および安全性の向上に関わる業務を行っています。他職種を対象に医薬品の安全使用に関する講習会を定期的に開催しています。

お薬センター
持参薬確認
医薬品安全使用説明会

薬剤管理指導業務

薬剤管理指導業務

患者さんの治療がより有効に、そして安全に行えるように、また、患者さんが自ら積極的に医療に参加できるように、病棟薬剤師が入院患者さんの薬物治療に関わっています。

ナースステーションでのカルテ確認
  • 薬の服薬状況の確認、副作用やアレルギー経験の有無をチェックします。
  • 正しく安心して服用いただけるように、薬の働き、必要性、飲み方、副作用などを説明し、また薬についての質問や相談にお答えします。
  • 電子カルテからの情報やベットサイドで直接患者さんと接することで、副作用をチェックし、早期発見、防止に努めます。
  • 入院中の服薬状況をもとに、退院後も薬を適切に使用されるよう退院時に患者さんに説明を行います。
  • 医師や看護師などの医療スタッフと連携をはかり、薬のプロフェッショナルとしてチーム医療に貢献します。

手術医療センター

2014年から薬剤師1名が手術医療センターに完全常駐しています。
主な業務は、麻薬・毒薬・向精神薬の管理の徹底、予定手術に使用する麻薬の事前調剤、使用薬剤の確認と補充、研修医への教育等があります。使用薬剤の確認と補充に関しては、使用頻度が高い薬剤をセット化し、周術期患者情報システム(オルシス)と連動させることで効率よく業務を行っています。薬剤師がこれらの業務を行う事で、麻酔科医と看護師はより手術に集中でき、より安全で質の高い医療を提供できると共に、手術間の時間が短縮され手術件数増加にも貢献しています。また、常駐している事で薬剤関連の問い合わせにもリアルタイムで対応でき、手術室の安全で円滑な運営にも貢献しています。

薬学生実務実習

当院の薬剤部では未来の薬剤師の育成にも務めています。
2010年4月よりスタートした薬学部6年制長期実務実習の受け入れをしています。
Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期の年3回学生を受け入れ(1期に3~4人)、カリキュラムに沿って実際の業務を経験し学習できるよう、実習スケジュールを組んでいます。

薬学生の実務実習

“クリニカル”と“サイエンス”をキーワードに、医療人としての“心”の養成と“科学者としての視点を持った薬剤師”の考えが身に付くように教育・指導を行います。また実習期間中に麻薬業務・薬剤管理指導業務・製剤業務・DI業務・TDM業務・抗がん剤の調製見学など、多くの薬剤師業務を経験できるようなスケジュールを組んでいます。

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