診療科

病理診断科

科の特色

当科の特色

病理診断科では、病理組織診断、細胞診断、病理解剖等を主たる業務としています。
臨床各科とカンファレンスを積極的に行い、ほとんど全診療科と連携をしながら業務を行っています。
最新の診断状況にも対応できるように、論文発表、学会発表、そして学会や研修会に積極的に参加しています。

業務内容

病理組織診断

 胃カメラや大腸ファイバー等で採取された組織片から標本を作って顕微鏡で観察し、良性か悪性かの診断をします。
この他、いろんな身体の部位から採取された組織から標本を作り、診断をします。その結果により、手術の適応や、抗がん剤の適応などが決定されます。手術で切り取った臓器(組織)は細かく標本を作り、良性の腫瘍か悪性の腫瘍か、悪性腫瘍ならば浸潤しているか、広がりはどのくらいか、転移はあるか等を肉眼的な観察や顕微鏡での観察を行って、診断します。その結果により、患者さんの予後の推定や、術後の抗がん剤や放射線治療などの適応が決定されます。

 診断には様々な色素で染め分ける特殊染色や種々の抗体を用いる免疫組織化学的検査、場合によっては分子生物学的検査を併用し、診断の精度を向上させ、客観的な診断結果を下せるようにしています。

術中迅速組織診断

 術中迅速組織診断は、手術における「ナビゲーター」あるいは「羅針盤」の役割をする重要な検査です。がんの手術中に必要が生じた場合に、切除した臓器の切れ端の部分やリンパ節にがん細胞があるかどうかを調べます。

 組織を凍らせて特殊な機械で薄く切り、染色し、顕微鏡で観察・診断、報告します。この間15~20分、この結果により切除範囲やリンパ節の切除範囲の程度が決まります。したがって、迅速性と正確性が要求される重要な検査です。そのため、手術前のカンファレンスに病理診断医が積極的に参加し、あるいは電子カルテを参照して、どのような患者さんに、どのような手術が行われているかを知りながら、もっとも妥当な診断が下せるように努力しています。

 当院では乳癌手術の術中迅速診断にOSNA(ONE-Step Nucleic Acid Amplification)法を導入し、術中センチネルリンパ節生検について客観的な診断を可能にしています。

細胞診断

 尿や喀痰、子宮頸部の擦過細胞診等の材料から顕微鏡標本を作り、がん細胞を探して膀胱がんや肺がん、子宮がん等の診断をします。この検査は患者さんに苦痛を与えずに材料が取れる利点があります。

 また乳腺や甲状腺等の腫瘤に直接細い針を刺して細胞を取り検査をする方法も行われます。これらの場合は採取時に多少痛みを伴いますが、腫瘤から直接細胞を取るため診断の精度が高くなります。また、手術中に胸水や腹水等にがん細胞があるかどうかを調べる術中迅速細胞診断は、術中迅速組織診断と同様迅速性と正確性が要求される重要な検査です。

 当院では、陽性検体、陰性検体に関わらず、細胞検査士による「ダブルチェック」と細胞診専門医のチェックを行い、正確性を高めています。

 さらに、従来の検体採取法の問題点である、①多くの採取細胞がガラスに塗抹されずに廃棄されてしまう。②乾燥・固定不良による不適正標本の出現、③免疫組織化学や分子生物学的検査への応用が困難、などの問題点を解決する液状化検体細胞診(Liquid-based cytology;LBC)を採用し(ThinPrep法)、検出率や診断精度の向上、治療に結びつく細胞診断を行っています。

病理解剖

 病院で病気が原因で亡くなられた患者さんに対して遺族の承諾を得て行う解剖です。なぜ亡くなったのか、病気がどこまで進んでいたのか、治療の効果はどうだったのか等を調べるために行います。
患者さんが受けられる最後でまた正確な診断の機会です。この結果は症例検討会で報告され、次の治療に受け継がれます。
当院では、病理解剖に関する臨床病理カンファレンス(CPC)を年間約20件行っています。

病理情報システム

 病理組織診断・細胞診断は最終診断になることが多く、患者さんの運命を左右します。したがって、検体の取り違えがあってはいけません。患者さんの検体の取り違え防止対策として、病理組織細胞診検査に当科オリジナルの「検体採取の場所から一貫したバーコード管理」を行っており、これにより検体取り違えのリスクが回避され、患者さんに関する病理診断関連情報を一元的に管理しています。