診療方針

特色

当科は呼吸器外科手術全般を行っていますが、胸腔鏡下手術の適応範囲が広いことと、ほぼ全例にクリニカルパス(診療の質を担保するために標準化された治療スケジュール)を適用していることが特色に挙げられます。これにより、肺癌の標準的根治手術を施行された場合でも、術後7日以内に無理のない退院が可能となっています。以下に各疾患に対する治療方針の概要をお示しします。

診療対象の主な疾患と治療方針の概要

主な疾患 治療の概要
早期肺癌 標準術式として肺葉切除術・リンパ節郭清を行っています。また、適応は限定されますが、一部の小型肺癌に対しては区域切除や肺部分切除などの縮小手術を行います。いずれの場合も原則として胸腔鏡下手術を行います。現在、当院での肺癌手術の8割以上が胸腔鏡下で行われ、そのほとんどがいわゆる完全鏡視下手術です。
進行肺癌 手術の方法は早期肺癌の場合と同じこともありますが、胸腔鏡を補助的に使用した開胸手術を行うことが多いのが特徴です。また、浸潤臓器の合併切除など積極的に拡大手術を行うとともに、呼吸器内科医による化学療法(抗癌剤治療)と放射線科医による放射線治療を組み合わせた集学的治療を行っています。
転移性腫瘍 転移性肺腫瘍(大腸癌や乳癌など他臓器癌からの肺転移)に対しては、原則的に早期肺癌の治療に準じた胸腔鏡下手術で対応しています。
自然気胸 原則として再発例を手術していますが、最近は若い世代を中心に、初発でも手術を希望される方が増えました。早く社会復帰していただくことを考慮し、受診後ただちに入院が必要な場合は、入院から数日以内に胸腔鏡下手術を行い、手術後2-3日で退院となることを目安に診療を行っています。
縦隔腫瘍
(胸腺腫など)
縦隔腫瘍で最も多いのは胸腺腫です。胸腺腫は小さいものであれば、胸腔鏡下手術により無理なく摘出可能なものが多いのですが、大きいものや周囲臓器に浸潤している場合は胸骨正中切開または開胸による摘出術が必要となります。
また、進行肺癌の場合と同様に集学的治療を要する場合もあります。その他の縦隔腫瘍の摘出術は胸腔鏡下手術が中心です。
重症筋無力症  原則として胸腔鏡下に胸腺摘出術を行います。クリニカルパスを使用し、手術後の入院期間は7日間です。手術の前後で、紹介元の主治医(主に脳神経内科医)および当院の脳神経内科と連携をとりながら診療を行います。
なお、この疾患には約3割の頻度で胸腺腫を合併することが知られていますが、腫瘍の有無により胸腔鏡下手術の方法が変わることはありません。また、現在当院では、2007年頃までに行っていた方法とは異なった方法で胸腔鏡下胸腺摘出術を行っています。

(以下、膿胸、胸膜中皮腫、胸部外傷などについては割愛)

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